黒田泰蔵の白磁
2023年2月3日(金)〜2月26日(日)
11:00〜18:00 水曜定休
黒田泰蔵さんが亡くなって2年。私にとってその存在は今更ながら大きい。自ら企画した本ができたり、円筒と梅瓶について語る人が出てきたりしている。
黒田泰蔵さんが取り組んでいた白磁の仕事は、幅が広く、深い。
2012年の10月23日にできて、菜の花で出した本の表紙を飾った円筒。「国宝ができたよ」と言って持ってきてくれたもの。菜の花の所有にはならなかったが、素晴らしく良いものだった。忘れることができない作品。今回は円筒を7点出したいと思います。その中には国立近代美術館工芸館に出品された3点もあります。
2015年から21年までの間は、円筒については作ることができなくなっていたようで、しんどそうであった。
梅瓶については最後の最後まで作っていた。それまでになく、高台の部分がチャーミングな丸み帯びたものも作っていた。ヒビが入っていたとしても、目指す形が明確に出来上がっていた。気持ちの良いものだった。今も私の手元にあって、出してみたいと思います。
黒田泰蔵さんを見つめて来た27年間を振り返って、展示できればと思う。
髙橋台一
細川護光の旅茶碗 岸野承の木彫
___
うつわ菜の花次回企画のお知らせ
細川護光と岸野承
旅茶碗と木彫
2022.12.3(土)〜12.11(日)
11:00〜18:00 7日(水)定休
細川さん在廊日 3日4日6日
岸野さん在廊日 3日4日5日6日
細川さんと岸野さん、4回目の2人展。
初めて聞いたが、細川さんが伊賀で修行中の20代前半から、2人は気が合って良く会っていた間柄だそうだ。2人展の話も飲んでいる時に、岸野さんが菜の花の雰囲気と合うんじゃないかと思って誘ったのだと言う。
細川さんはDMの写真の茶碗の他に、小福茶碗を中心に出す予定とのこと。今はお茶会というより、1人で茶を点てて飲めるものを、という気分だと言う。小さいのを作るのが楽しいと。楽が主で、赤楽は熊本の窯、黒楽は湯河原の窯で焼くそうだ。茶碗以外に湯呑みや赤楽の小皿も出るというので楽しみである。
岸野さんは毎日坐禅をし、大阪の南宗寺にも通って老師と話をして帰る暮らしだそうだ。
薄い作品が多いのを尋ねたら、熊野神社の川に落ちていた材だという。流され朽ちて油の乗った所しか残らないから薄いと。虫食いの跡もそのままに、材から感じ見えたものを作ると話される。
2人とも、作ろうとしてではなく、手と素材から生まれ出る形を大切にしている。その世界を味わって頂きたい。
髙橋台一
神林學の彫刻とデッサン
神林學の彫刻とデッサン
2022.11.5〜11.13
11:00〜18:00
作家在廊 5日6日13日
定休日 9日
神林さんの今回のようなデッサンは、今まで見たことがない。
新しくビビットに感じた。 「これ、凄いねー。」
すると、これはモデルを描くことに集中するクロッキーとは 違い、本当に表現したいものを作品にするためのプロセスで 描いているものだと言う。だから自分の内面をさらけ出す ようなものだし、初めて出したそうだ。ナタで割った木片で、 深く複雑な色に調合した水性絵の具を使って描いている。 これが神林さんの彫刻の基礎であり、内面からほとばしり出る エネルギーをいつも何通りも何枚も描いていたのだった。 そして捻ったり丸めたりの姿勢の取り方、足の動きなどを 決めて
進めていく。一個の作品に一ヶ月くらいかかると言う。 神林さんは頭部をあまり克明にしなかったり作らなかったり する。表現がそこに行ってしまい、見る側も答えをそこに求め ようとするから、それ以上想像の余地が無くなりつまらない 2022 と言うのだ。トルソが魅力的であったり、ミケランジェロが 腕や足をとってしまった作品があるのもそれ故だと言う。 つまり答えは単純に1つではない。未完とも見える作品を、 見る側が自分の想像力や解釈である意味完成させるとも言える のではないか。さぁ神林さんの作品をあなたも見に来てください。 常に未発表の作品です。彫刻は7点デッサンは6点。
2022年10月15日 髙橋台一