クロヌマタカトシの彫刻
クロヌマタカトシの彫刻
___境界___
クロヌマさんの工房を訪ねた。入り口から入った 途端、山羊の彫刻が迎えてくれた。僕が何処へ動いても その瞳が僕を追っている感じがした。とてつもない 彫刻である。 工房にはこの酷暑なのにエアコンが無くすこぶる 暑かった「。安心して作ると良いものができない。何かを 作ろうという気にならない。それにクーラー自体も 美しくない」と言う。確かに工房は美しい空間だった。 流木を探しに新潟まで軽のバンで出かけたそうだ。
「流木は時間を含んでいるものなので下手に手を出せ ない。流木からしたら準備はできている。こちらの準備が ないと踏み込めない。自分の力ではなく互いの交点が
見つかった時何か生まれてくる。」その時境界を超える のだと言う。それを聞いた時、わからなかった彼の メッセージの境界線の意味を垣間見た気がした。「羊か 山羊かではなく何者でもなく実在としてそこに在る ものを作りたい。空間をまとえるような作品作りを し た い 。」自 然 と し て の 人 間 。自 然 の 中 の 人 間 。縄 文 、 ラスコーの壁画、焼きもの、詩… 。僕たちの話はジャンルの 境界を越えて多岐に渡った。仕事の後、毎日お酒を飲む のが楽しみだと言う。そこだけは僕と同じである。 今回流木、木彫、粘土の作品で出品。まだ展覧会までに 少し時間がある。実は更に期待しているところである。
2022年8月18日 髙橋台一
クロヌマタカトシの彫刻
2022.9.3.sat.〜9.11.sun
作家在廊日3日11日
11:00〜18:00
7日(水)定休
大平新五の陶と古道具
2022年7月16日(土)〜7月24日(日)
11:00〜18:00
20日(水)定休
作家は全日在廊予定です
以前大平くんの家で信楽の大壺を見た時に、口元の割れが大きいがなかなか良いと思った。彼もとても気に入っていて、今回のメインにしたいと言う。それを中心に全体的な構成もしたとのこと。珠洲の壺も面白い。
僕がびっくりしたのは東大寺の幅のある板である。琵琶湖の船板も良い。古材は他にも結構来るらしく、欅の風化した狭い所にも置けそうな板もあるそうだ。
昔のお寺の銅の雨どいを掛け花に見立てたもの。
白磁の碗。黒くて柄の入っている細長い瓦。共に李朝である。
鎌倉時代の山茶碗、江戸初期の古備前角皿などもある。
大平くんの作品の大壺もある。須恵器から信楽初期へ変わる途中の辺りを狙って、青っぽいビードロのかかる焼きが好きだと言う。他にも粉引のぐい呑と徳利、何度か焼いた焼き締めの瓶子、茶碗もある。
うつわ菜の花 髙橋台一
藤井勘圿の絵画
2022.6.4〜6.12
前回京都寺町の藤井勘圿さんの展覧会で、アトリエで見た時から気に入っていた大きな蓮の絵を、売れないだろうなと、僕が買っておいた。それをどうしても寺に掛けたいというお坊さんが現れた。僕がこの春行ったばかりの岐阜の薄墨桜の近くだという。その絵は10年ほど前から描かれていたもので、よく描きこまれていて紙が古くなってきた故の味も出てなかなか得難いものだった。僕にとっては残念だがそんなふうに絵は売れていくのだろう。人は作品と出会って自分の所に置きたい、あるいは多くの人に見せたいと思う。そこには必ず見た人の感動があってのことだ。そこが良いのだろう。勘圿さんとそのお寺に会いに行ってつくづく思った。
勘圿さんは今とても忙しいと笑う。蓮の作品が次々と収まっていく事で、勘介さんに喜びが生まれ次を生む事に繋がっているからかもしれない。きっと勘圿さんは大きなものをひっぱり出しては蓮を描いているようだ。今回もおもしろそうだ。明日は彼のアトリエに写真撮りに行く。