谷由起子の世界

2015年4月4日/ 土 –  4月12日/ 日
作家在廊日 4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
O P E N 11 : 00 ー 18 : 00
4月8日(水) 定休日

HPE 糞掃布について
畑で綿を育て糸を手で紡ぎ布を織る。畑で藍を育て織った布を藍染 にする。藍で染めた布を服に仕立てて自ら着る。昔なら当たり前の 布ですが 今となってはこういう布が私にはとても美しく見えます。 着古されボロになった布は弱くなり実用性は低くなりますが 時を 経て益々美しく見えます。村の人は実用のために作っているので  着古しボロになると雑巾のような役目を最後に果たし惜しげなく捨 てられていきます。 私はそれがもったいなくて 捨てる前の布を集めました。丁寧に縫 い目をほどき 痛みの度合いを分類し 新たに手縫いでつなぎ合わ せ新しい布を作りました。 繰り返しになりますが村の人が捨てた布ですから弱い布です。しか し柔らかく 肌にかけてもしっくりきます。そして美しい布である と思います。
糞掃布を作る作業で糞掃布にさえできない端切れがでます。その端 切れで私は雑巾を縫い その雑巾で床を拭きます。穴だらけになり 最後は糸が溶けるようになります。もういくらなんでも捨てようか と 最後に洗って乾かして 焼却しようとしますが その溶けそう な糸が光に透け 輝き なんて美しいのだろうとうっとりしてしま い 結局捨てられません。 約3m 四方あるこの糞掃布 バンと飾っても迫力がありますが ぼろ隠し用の布として 間仕切 りに ベットカバーなどにも。 意外に使い道の多い布ではないか と思います。 私は死んだらその亡骸をこの布にくるんでもらって土に埋めてもら いたいというのが夢です。
谷由起子

糞掃布
この言葉を聞いた時、新たまって、自らの20歳前後のことが浮 び上がって来ました。 大学時代、ぼろをまとい、うろうろしながら、飛騨や富山や東北 にかけて歩いていたことが ガァー と浮び上がって来たのです。 どこへでもヒョイと向っていたし、会いたい人がすごく旅先でみ えてきたし、ひょんな形で会っても、気にせず対応できた良き時 代でもあったのです。でもあまりにも悲しくもありました。 この布があることが不思議でなく、根底の日常にあるように思え るのは、そのことをかかえて生きてきたというとカッコ良さそう に思われるかもしれないですが、そうだったとしかいいようがな いのです。 谷さんがやられている布への執着が心からはなれられない。 愛しさというもののあらわれが、おのれの亡骸をこの布にくるん で土に埋めてもらいたいという夢を私が先にいかなければそうし ますよと言っておきます。 あまりにもうしなっていくものが早く消えていきます。あせらず ゆっくりと思ってはいますが何か形にして言っていかなければな らないのです。
2015年3月11日 菜の花店主 髙橋台一

tani

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25. 3月 2015 by STAFF
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