クロヌマタカトシ 木彫
2018 年
10月2 0日. 土― 10月28日. 日
作家在廊日 2 0日・2 8日
定休日 24 日. 水
OPEN 1 1 : 00 ― 1 8 : 0 0
僕がクロヌマさんの彫刻に出会ったのは、長年企画している匙 屋さんのお店でした。クロヌマさんは、8年前に用で歩いていて、 「匙屋」の看板を見かけて入り、その姿勢に感銘を受け、自分でも匙 を作ってみようと思ったそうです。 ところで、匙をずっと作っていると、作業になってしまい、これで はいけないと彫ってみたら、何故かお爺さんの姿が現れ出てきた といいます。すると、匙屋さんが「これで展示会をやりましょう。他 にも動物とか作ってみたら?」と言ってくれたのがきっかけに なっているというから、面白い。 工房は二カ月かけて、何軒か並ぶ借家の一軒が、まさにクロヌマさ んの工房に生まれ変わった空間である。置いてあるのは、ヨーロッ パで入手した古い動物の角付きの骨、ドライフラワーなど。自然が 作り出した造形、時間が経ったモノ。 僕が訪ねると、木の根に挑んで、牛頭へとノミを振るっているとこ ろだった。 「牛は無骨さや強さを持ち、人間とは親和的でありながら、どこか 神聖さを併せ持っています。木の根や流木の製作は、思い通りには いかないが、自然と対峙して自分と自然の交叉する処を見つけて 行く、、。リアルさも必要だが、すごくリアルに創りたい訳ではな く、そこに、野性味や力強さなど出したい。製作の中で、それまでの 価値感を揺さぶられ、新たな価値観で世界を見なさいと言われて いるような気がします。」 と言う。そして、見る人も、好き嫌いというような価値感から、もう 一度フラットに見る価値観へと、変えられるものが創れたらいい なと、思っているそうだ。 僕もDM用に大きな白鳥が1つ届いた時にはびっくりしたが、実 際目にすると骨太な存在感があった。それと対比的な、製作中の牛 も、どうものにしていくのか、楽しみである。 尚、今回の展示台も、クロヌマさんが製作された台で、いっそう彼 独特の空間が味わえると思う。 2018年10月8日 菜の花 髙橋台一
クロヌマタカトシ プロフィール
1985 神奈川県に生まれる 2008 建築の仕事に携わる 2010 木彫での制作を始める 2011 初個展(匙屋) 以降各地にて個展 2015 パリにて個展(Galerie planète rouge ) 2017 厚木に工房を構える 2018 パリにて個展(galerie metanoia )