望月通陽展
●望月通陽展
2010年11月6日/土 – 11月15日/月
作家在廊日 6日
OPEN 11:00 – 18:00
定休日10日(水)
もっちゃんと会いたくて、話したくて、静岡に行って来た。
この人の素晴らしさは、たとえれば、内側に光を見出すところまで降り立っていくような姿勢にある。
このところ多くの素材を見出しながら、いろいろな時代を生きてきた職人のようでもある。
しかし彼は、単なる職人ではなく、ものづくりでもない。現世や、多くの人のものの見方におもねることなく自分の感性のみを頼りに、実直に対決する。軋轢を生みながらも、それを越えて打ち込まなければたどり着けない世界を、成しているからである。
その姿勢が、あったかく、優しく、しなやかなものを生んでいくんだと思う。
どんな作品を取っても、取り上げるたびにそんな彼から発せられる詩神を感じざるを得ないのである。
菜の花店主●たかはしたいいち
望月通陽(もちづき みちあき)プロフィール
1953年静岡市生まれ。染色、ガラス絵、ペン画、ブロンズ、鋳造ガラス、木彫、陶など多様な技法を用い、型染めにより培われた形と線でユーモアに満ちた独自の作品世界を築いている。昨年、2008年には、小平市松明堂ギャラリーにて1年、12ヶ月連続展「with望月通陽展」を開き、各月違った技法での造形、会場設計が注目を集めた。装幀、装画も多数。光文社・古典新訳文庫カバー画など手掛ける。
1995年 講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。
2001年 ボローニャ国際児童図書展賞受賞。著作に画文集「道に降りた散歩家」「方舟に積むものは」作品集に「円周の羊」などがある。
表面:鋳造ガラス作品 裏面:鉄 プラズマ溶断作品
津田千枝子さんの個展が始まります
蓮、パイナップル、野蚕、様々な素材から織り上げられたアジアの布を、現地を訪ねて集め、その風合いを生かして型染めをされている津田さんの作品たち。 気持ちのいい空間になりました。
津田千枝子の『型染めの布』展
●津田千枝子の『型染めの布』展
2010年 10月23日/土 -11月1日/月
作家在廊日 23、24、26、29、30、31の各日
OPEN 11:00 ー 18:00
定休日27日(水)
私の染色のことですが、技法的にはオーソドックスな型染めです。最近はインドの工房で、泥糊を使った泥防染で染めることも少ししています。
特徴は何かなと思うのですが、私の場合、様々な表情のある布に型染をしていることかと思います。
ラオスの谷さんの布を始め、日本の栃尾の生紬や、インドの工房にオーダーして織ってもらう布、ミャンマーの蓮の布、フィリピンのパイナップル布等々、白生地で見るだけでも美しい布をそこなわないように、布の力を染めの段階でなお、引き出せたらいいなあと常々思っています。
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上記のDM写真用作品の説明文が届いたのだが、どうしても、会ってお話を聞きたくなった。
ミャンマーから昨日、帰って来たばかりの津田千枝子さんと会ってきた。「これが蓮の布なんですよ。これをもらい受けに、2年に一度行くんです。」とドンと置かれた。その織りの荒々しさとざっくりとした肌ざわりに、こんなものでいいのかと驚いていると、「かつて日本でも蓮の葉の繊維から織られていたのかもしれないんです。当麻寺の中条姫が織ったと言われるマンダラの残欠が蓮糸で織られたと伝えられているんです。(実は麻布であったこともわかったのだが)現在は、唯一ミャンマーのインレー湖の湖上に住んでいるシャン族によって織られているんです。」
本来は仏さまに奉げる布なんですね。でも、そこまでたどりつくには、飛行機を乗り継ぎ、ボートにゆられること数時間。でもその道行きが楽しそう。そこら辺の話をしていると案内状にならないので話を戻します。
津田さんの手にかかると、布の表情が一変する。蓮布、タッサーシルク、ギッチャにしろ、型染とはいっても自由に枠からはみだして、自在である。古色かなと思うとモダンでシックな味わいである。一体どこから来ているのか。そこに津田さんの型染めのとらえ方、素材の生かし方、その出会いの仕方に、直感的に探し出す力が秘められている。軽やかに、幸運をつかむように運命づけられているようだ。
津田さんの身辺は、最高の水準の人たちに恵まれていますが、津田さんのすごさは今までの評価や権威にとらわれず、自分の納得のいくまで素直に作りだし、僻地まで布さがしをされて、つくり手、織人と出会っていることではないだろうか。それも楽々と楽しんで。
手から手に。それもローカル同志がつながるグローカルというそうですが、そんなつながり方をしているのが魅力である。
初日はそんな話も聞けそう。
菜の花店主 たかはしたいいち
津田千枝子プロフィール
1974年 東京芸術大学 美術学部絵画科卒業(日本画専攻、新創作春季展入選
在学中から紅型を始め、卒業後、友禅を吉田勇四、藍建てを菅原匠、中島安夫、
型彫りを田所実、また工芸全般について内藤四郎の各氏に学ぶ
1975年 銀座 村松画廊にて個展
1979年-1980年 ニューヨーク在住
1987年 伊勢丹浦和店美術画廊にて個展
美術史家の夫に同行してヨーロッパの中世美術を訪ね歩く(以後2002年迄毎年)
1994年 インド、アーメダバード、国立デザイン研究所「日印染織シンポジウム」に参加
1996年 広尾 古玩堂にて個展
1997年 インド、アーメダバード、国立デザイン研究所「日印染織シンポジウム」に参加
1999年 インド、ブバネッシュワール、第3回国際野蚕学会で講演とワークショップを行う
2000年 山梨 ギャラリー歩ら里にて個展
2003年 インドネシア、ジョグジャカルタ、第4回国際野蚕学会で講演とワークショップを行う
各地にて個展、グループ展多数。現在、桐朋学園大学講師
内田鋼一の陶
9月25日(土) – 10月3日(日)
作家在廊日 25日.26日 | OPEN 11:00 ー 18:00
定休日29日(水) | 最終日は16時まで
手元に一つの案内がある。
「試みの茶事ー北の丸大茶会」というタイトルのパンフレットには
《試みの茶事 - 北の丸大茶会》
日時 / 2010年9月11日(土)12日(日)
会場 / 東京国立近代美術館 工芸館 2階
サブタイトル / 30代〜40代の現代陶芸家が提案する、新しいお茶の姿
主旨 / 歴史ある茶事への意識は若い世代の中でも高まりを見せています。しかし、「茶の湯の器は、つくっていても茶道(茶会)のことはわからない」という声が多数あがっているのが現状です。そこで、若い世代の器を使った参加型の茶会を行い、現代における茶事のスタイルを探るとともに、茶事と茶の湯の結びつきも探るものとします。
茶壷口切点前
各自で今年5月〜6月に茶摘み・製茶したものを使用。
三重県の茶・内田鋼一 | 京都宇治の茶・福本双紅 | 岐阜県富加の茶・加藤 委
薄茶席(2畳) 陶芸家たちが、亭主となり、道具をつくり、コーディネートをし点前する。
そのメンバーの中に、内田鋼一さんが入っている。
この文を書いている時点では、まだ茶会は始まっていない。
どんなしつらえをして、どんな顔で、その2日間、そこに居るんだろうか。私も、ひょっこりあらわれようかと思っている。
今回の菜の花の個展も内田鋼一の茶の湯を味わさせてくれそうだ。それに加えて、内田鋼一の「文字」が届きそうである。
ところで、3日前愛媛の内子町に栗の出来具合を見にいった帰りに松山で小野セツロー翁と会ってきた。半身不随にもめげず元気であった。内田鋼一の旅茶碗で茶を立てていたらセツローさんが言うには「内田君の絵を見たけれど、もうちょっと下手だといいのに。でもその下手さかげんが難しいね。上手な人はなんぼでもいる。上手な人が下手に描くようには努力できない。自分の師匠は、小学3年生の描いた線なんだ。3年をすぎるとうまくなってしまう。自分は、3年生の心がけをしないとできないんだよ。内田君のは、上手だけをねらっていない。何を狙っているんでしょうねぇ。もって生まれたものでしょうね。人の心をとらえて、はなさないね。」皆、感じていることは同じなんだなあ。内田鋼一の先を見たいんだなあとつくづく感じる日々であります。
2010年 9月9日。 菜の花店主 たかはしたいいち
内田鋼一 Kouichi Uchida
1969 愛知県名古屋市に生まれる
1990 愛知県立瀬戸窯業高校陶芸専攻科修了
1992 三重県四日市市に移り独立
1993 個展を中心に活動
2000 「うつわをみる 暮らしに息づく工芸」展/東京近代美術館工芸館
2003 「UCHIDA KOUICHI」展/三重県Paramita Musium
作品集「UCHIDA KOUICHI」を求龍堂より刊行
2004 静謐なかたち「内田鋼一 Uchida Kouichi」works2003-2004
富山県 4th MUSEUM RIVER RETREAT 雅楽倶
2006 「陶芸の現在、そして未来へ Ceramic Now」/兵庫県 兵庫陶芸美術館
「SOFA」/アメリカ ニューヨーク | JAPANESE CRAFTS/イギリス ロンドン ギャラリーベッソン
2008 新進陶芸家による「東海現代陶芸の今」展/愛知県陶磁資料館
「melbourme artfair」/オーストラリア メルボルン | Rosso:Uchida Kouichi
イタリア ベルガモ Daniela Gregis他、スペイン・イギリス・イタリア・オーストラリア・西アフリカ
ベトナム・タイ・韓国・中国・台湾・インドアメリカ南米等で制作及び発表
吉田直嗣の器
2010.9.4Sat.-9.13Mon.
作家在廊日:4日(土).5日(日)
OPEN 11:00 ー 18:00/8日(水)定休日
吉田直嗣さんのカップで、teteriaのお茶を。
9/4(土)はteteriaを主宰する大西進さんが在廊。吉田さんのうつわで紅茶をお飲みいただけます。
ものを作る、という事にいつも想いを巡らせています。
自分の中にある核のような部分がどうしたら吐き出せるのか、考えます。
黒い塊のなかに見いだせる気がして創作を続けてきて、
今、白い塊のなかにも同じ感覚をぶつけられると思い作り始めています。
もっと深く核に触れようと考えながら前回の菜の花の個展から時間が過ぎました。
作る器もどこか変わってきたでしょうか。
今さらながら、焼き物が好きでたまらない時があります。
そんなものも含めて変わっていく自分、
変わっていく器を見ていただければと思います。
吉田直嗣
———
上記の文が届いた。
吉田直嗣君は、白磁の黒田泰蔵さんのところに3年いて独立した若者。
顔に似ず直情型。「また、ここで是非やらせて下さい。」
そういうところが気持がいいのですね。
「今迄とは違って、黒にこだわらず、素直に白磁に挑戦したらどうか。」
と提案してみて、今回の企画になったわけです。
僕は内側から湧きおこるエネルギーをたよりにものを見たり、
湧き出ずる水や温泉に助けられたり、涙に感動したりと、
ごく自然で単純なところに依拠しています。
だから吉田君がものづくりとして、〈 自分の中にある核 〉に
とらわれていることは大切だと思っています。
2010年 8月 うつわ菜の花店主 たかはしたいいち。
吉田直嗣
1976年 静岡県生まれ / 2001年 東京造形大学卒業後、黒田泰蔵氏に師事 / 2003年 静岡県駿東郡に築窯 器を中心に制作
teteria 主宰 大西進 (おおにし すすむ)
1976年、群馬生まれ。大学卒業後、会社員、喫茶店勤め、茶畑体験を経て、現在お茶の販売「teteria」を主宰。9年間専門店でひたすらお茶を入れ続け、現在は紅茶を中心に上質な
お茶を紹介する日々。吉田直嗣とは年に数回「器とお茶」のイベントを開催。柴田書店「cafe-sweets」 でレシピの連載。著書に『teteria流 お茶の本(講談社)』など。静岡県沼津市在住。
うさぎ考
くら田たまえさん、もぐら庵さん、神林學さん、三人の作家の『
初日に行われた、パリから帰国中の仲野麻紀さんと、